しかし、作品世界の中で完全に時間が止まっているかというと、そう単純ではない。劇中では明確な時間経過を示す重大なエピソードが存在する。その最たる例が、妹である野原ひまわりの誕生だ。
母である野原みさえの妊娠から出産、そして赤ん坊の成長に至るまで、物語の中では確実に月日が流れた。さらに父の野原ひろし(35歳)のサラリーマン生活や、ローンが残る春日部の自宅における出来事など、季節の移り変わりやカレンダーの進行は丹念に描かれている。ひまわりが0歳児として定着する一方で、しんのすけだけが「5歳」に留まり続ける。この時間の歪みこそが、ファンの間で長年語り継がれる奇妙な魅力と言える。