引き金となったのは、紛れもなくオフィス構築にかかる初期コストの異常な膨張だ。坪単価数十万円が当たり前になった内装工事費、数カ月待ちの什器調達、そして日銀の金融政策正常化に伴う金利負担。従来の普通借家契約でビルを借りようとすれば、賃料6カ月〜12カ月分の敷金を長期間塩漬けにされる。機動力を重んじる企業にとって、これは資金の死蔵に他ならない。
「2年後の人員規模すら読めない時代に、5年の賃貸借契約を結ぶのは経営リスクそのものだ」。都内のフィンテック企業CFOはそう吐き捨てる。必要な時に必要な席数を即座に確保し、事業の縮小や拡大に合わせて翌月には拠点のサイズを変更できる柔軟性。初期投資をゼロに抑えて翌日から業務を開始できるスピード感が、財務諸表を痛めつけない防衛策として機能している。