結婚という形式にとらわれない生き方の背景には、40年以上にわたって苦楽を共にしてきたバンドメンバーの存在がある。ギターの春畑道哉をはじめ、ベースの角野秀行、ドラムの松本玲二という不動の4人で築き上げた絆は、もはや家族以上の領域に達している。誰ひとり欠けることなく走り続けるTUBEの歩みこそ、前田が人生で最も大切に守り抜いてきたものだ。
春畑道哉が紡ぎ出す極上のメロディに、前田が魂の歌声を乗せる。その強固な音楽的信頼関係があるからこそ、孤独を感じる隙間などないのかもしれない。リハーサル室やツアー先でメンバーと過ごす時間、音をぶつけ合う瞬間にこそ彼の真の幸福があり、家庭という枠組みを超えた人生の充実がそこには存在している。