ヨルシカがビジュアルを公開しない方針を貫く背景には、コンポーザーであるn-buna(ナブナ)の明確な創作思想が存在します。ボカロPとしてのルーツを持つn-buna自身も素顔を公にしておらず、バンド結成当初から「作者や演奏者の容姿・キャラクター性に依存しない作品づくり」を標榜してきました。
インタビューなどでも語られている通り、作り手の顔やプライベートな情報が前面に出ることで、聴き手が楽曲の世界観を純粋に味わう邪魔になってしまうことを強く懸念しています。「作品が主役であり、人間はその媒介に過ぎない」という徹底したコンセプチュアルな姿勢が、メンバー全員の匿名性という形で表現されているわけです。
消費スピードが速い現代の音楽シーンにおいて、アイコンとしての消費を拒み、純粋な音と歌詞の力だけで勝負するスタイルが、結果としてヨルシカというプロジェクトの唯一無二のブランド価値を高めています。