志村けんがエンターテインメントの道へ踏み出した原点は、実は音楽にあった。高校卒業間際にボーカル&ギター、あるいはドラムスを嗜むバンドマンとして活動していた時期のモノクロ写真が残されている。目鼻立ちがくっきりと際立った彫りの深い顔立ち、意志の強さを感じさせる鋭い眼光。スタイリッシュなマッシュルームカットや長髪スタイルは、当時のGS(グループ・サウンズ)全盛期のスタアたちと肩を並べても一切見劣りしない。
本格的なコメディの世界へと飛び込む直前、音楽とファッションに没頭していた青年の佇まいには、後年の親しみやすさとは対極にある洗練された危険な魅力が漂う。彼が魅せたビジュアルの質の高さは、単なる懐古趣味にとどまらず、令和のカルチャーシーンにおいても新鮮なビジュアルショックとして受け止められている。