カレンダーで「4月(卯月)」と見ても、ピンとこない季節感の正体は、旧暦(太陰太陽暦)と新暦(太陽暦)の時間軸のズレにあります。日本が明治5年(1872年)に現在のグレゴリオ暦を導入するまで、日々の営みは月の満ち欠けと太陽の運行を組み合わせた旧暦とともにありました。
旧暦の月日は、現在の新暦よりもおおむね1ヶ月から1.5ヶ月ほど遅れて進行します。たとえば旧暦の1月は、現在のカレンダーでいう「1月下旬〜3月上旬」にあたり、ちょうど立春を迎えて寒さが和らぎ始める季節でした。新暦1月の極寒期に「迎春」や「初春」と表現すると違和感がありますが、旧暦の季節感に照らし合わせると見事に合致します。
月の異名は、農作業の節目や咲き誇る植物、天候の変化を肌で感じ取っていた先人たちが遺した、極めて情緒豊かな実用言語なのです。