状況を変える契機となったのが、ここ数年で整備が進んだフリーランス保護のための法制化と、業界内でのコンプライアンス意識の変化です。かつて声優は個人事業主であり、労働基準法の保護対象外として扱われがちでした。そのため、ハラスメントを受けても泣き寝入りするしか道がなかったのです。
しかし、契約の書面化やハラスメント窓口の設置を義務付ける法的な動きが強まったことで、声を上げるハードルは確実に下がっています。SNSを利用した「#MeToo」運動の広がりも手伝い、悪質なプロデューサーや音響監督の名前が業界内で共有され、実際に仕事を干されるケースも出てきました。業界の自浄作用がようやく機能し始めたと言えます。