毒キノコによる中毒の恐ろしさは、食べた直後に症状が出ない点にもある。多くの猛毒種に含まれる毒素は、体内に吸収されてから6時間から24時間ほど経ってから牙をむく。
初期症状として激しい下痢や嘔吐が現れた後、一時的に症状が和らぐ「偽回復期」と呼ばれる期間が存在することが多い。患者が「ただの胃腸炎だった」と安心している間に、毒素は体内深くへ浸透し、肝臓や腎臓の細胞を静かに破壊していく。医療機関を受診した時にはすでに重篤な臓器障害に陥っており、人工透析や臓器移植を余儀なくされるケースも少なくない。発症までの時間差が、治療の遅れに直結しているのだ。