本作のメガホンをとった静野孔文監督とアニメーション制作を手がけたトムス・エンタテインメントは、京都の歴史的建造物や自然のディテールを徹底的に取材し、映像へと落とし込んだ。配給を担う東宝が送り出してきた歴代の劇場版アニメのなかでも、本作の美術背景の緻密さは群を抜いている。
単なる風景のトレースではない。夕暮れ時の光の差し込み方、石畳の湿り気、紅葉の葉脈1枚に至るまで計算し尽くされた映像美は、原作者の青山剛昌が紡ぐドラマティックな世界観を極限まで引き立てる。映画製作陣が現地で見出したリアリティの断片は、訪れたファンの目を奪い、何度でも現地へ足を運ばせる強い原動力となっている。