海とは対照的に、静寂を極めたい人々が向かうのは美山や京北といった中丹・口丹波エリアだ。茅葺き屋根の民家が点在し、朝には深い霧が杉木立を包み込む。ここでは「何もしない時間」そのものが最高のアクティビティになる。
地元木材を贅沢に使ったキャビンデッキに腰を下ろし、薪ストーブの柔らかな爆ぜる音に耳を傾ける。スマートフォンの通知を切り、読書に没頭する宿泊客の姿も珍しくない。地元の猟師から仕入れた新鮮なジビエを焚き火で炙り、澄んだ水で育った美山米を土鍋で炊き上げる。土と緑の香りに包まれるひとときは、日常で摩耗した神経を静かに解きほぐしていく。