この店を語る上で絶対に外せない主役が、神奈川県の三浦半島から毎日届く「三浦野菜」だ。朝採れの瑞々しさをそのまま抱え込んだ根菜や葉物野菜は、鮮烈な甘みとほろ苦さ、そして力強い土の香りを放つ。
シェフの手にかかると、野菜は単なる肉や魚の付け合わせではなく、テーブルの主役へと鮮烈に変貌を遂げる。素材の水分を巧みに操り、蒸す、焼く、素揚げにする。それぞれの野菜が持つポテンシャルを極限まで引き出す最小限の火入れと調味は、まさに職人技だ。色鮮やかなビーツの鮮烈な赤、噛むほどに甘みが広がるニンジンのローストなど、皿の上に広がる大地のグラデーションは、訪れる者の視覚と味覚を同時に覚醒させる。