2004年に公開された映画『いま、会いにゆきます』は、興行収入48億円を記録し、社会現象となった。この名作が提示した「死んだ妻が雨の季節に記憶を失って戻ってくる」というファンタジックな設定は、一歩間違えれば非現実的な絵空事に映りかねない。しかし、二人が注ぎ込んだ生々しい息遣いによって、比類なきリアリティを宿す極上のヒューマンドラマへと昇華された。
夫の巧を演じた中村獅童の不器用で真っ直ぐな佇まいと、澪を演じた竹内結子の吸い込まれるような眼差し。クランクイン直後から現場に漂っていた緊張感と温かさは、物語の枠組みを超えて観客の胸を締め付けた。日本映画における恋愛・家族劇の到達点として、現在も語り継がれる金字塔である。