日本のクマ類における生息域は、生物地理学上の境界線である「ブラキストン線(津軽海峡)」によって完全に二分されています。
ヒグマの生息地と北海道分布は、文字通り北海道全域(道北、道東、道央、道南)に限定されます。かつては奥深い山林に集中していましたが、近年は札幌市南区や旭川市近郊など、都市部と森林が接するインターフェース地帯への定着が進んでいます。道庁のモニタリングデータによると、道内のヒグマ推定生息数は約1万2,000頭前後に達し、生息密度の高まりが市街地進出の一因と指摘されています。
一方、ツキノワグマは本州および四国の山岳地帯に広く分布しています(九州の個体群は環境省レッドリストで絶滅と評価)。東北、北陸、中部、近畿、中国地方の山林が主たる生活圏ですが、ツキノワグマの出没ニュースが示す通り、秋田県や岩手県、新潟県などの住宅地、果樹園、さらには北関東の市街地にまで出没範囲が拡大しています。
2026年現在の傾向として特筆すべきは、2026年クマ目撃情報と最新動向に見られる「アーバン・ベア(都市型クマ)」の定着です。里山の荒廃や過疎化に伴い、人間と野生動物を隔てる緩衝帯(バッファゾーン)が消失。ブナやミズナラなど堅果類の豊凶周期に関わらず、放棄果樹や生ゴミの味を覚えた個体が昼夜を問わず市街地周縁に出没する構造的リスクが常態化しています。