スクリーンから漂う張り詰めた空気は、冒頭の脱獄シーンから一気に観客の息の根を止める。染井為人による傑作小説を原作としながらも、藤井道人監督は映像ならではの臨場感を極限まで研ぎ澄ませた。四季折々の日本の風景をバックに繰り広げられる潜伏生活。その美しさと背中合わせに存在する、常に「死」と「逮捕」に怯える緊張感が作品全体を包み込む。
映画館でのリアルタイムな興奮はもちろん、ストリーミング配信が定着した現在でも、SNS上では連日熱い考察が飛び交う。「気づけば息を止めて見入っていた」「ラスト15分の感情の波状攻撃に耐えられない」といったファンの声は絶えない。細部まで徹底的に計算されたカメラワークと、登場人物の吐息まで拾い上げる音響設計が、観客を当事者へと引きずり込むのだ。