「シャバい」の語源を遡ると、仏教用語の「娑婆(しゃば)」に行き着く。苦難の多い現実世界を指す教義上の言葉だったが、近代以降は刑務所や裏社会の隠語として転用されるようになった。服役中の受刑者が塀の外の自由世界を「シャバ」と呼び、「シャバの空気を吸う」といった表現が定着したのだ。
やがてアウトローの世界では、塀の外で平和に暮らす一般人や、過酷な試練をくぐり抜けていない者を「シャバ僧(しゃばぞう)」と嘲笑して呼ぶ文化が生まれた。厳しい掟や力関係に晒されていない「甘ちゃん」「軟弱者」を排斥する差別的な視線が、「シャバい」という形容詞の原点には存在していたのである。