草壁メイの圧倒的な実在感を語る上で、声優・坂本千夏の存在を外すことはできない。大人が演じる「幼い声」にありがちな作為感を徹底的に削ぎ落とし、言葉がまだ滑らかに回らない4歳児特有のイントネーションや息遣いを生々しく再現した演技は、声優史における最高峰のパフォーマンスの一つと称される。
姉である草壁サツキとの掛け合いで見せる、無遠慮な甘えと意地っぱりな叫び。坂本は台本上のセリフを読むのではなく、メイの身体に入り込んで呼吸そのものを発露させた。宮崎駿の妥協のない演出意図を完璧に汲み取ったこの演技があったからこそ、メイはセル画の枠を破り、何世代にもわたって観客の記憶に「隣にいる生きた子ども」として刻まれることとなった。