全興寺の代名詞とも言えるのが、境内の一角に建つ地獄堂です。ネット上では「子どもが大泣きして動けなくなった」「お化け屋敷より精神的にクる」といった声が絶えません。なぜここまで参拝者の恐怖を煽るのでしょうか。
最大の理由は、演出の徹底したリアリティと「自己責任の問いかけ」にあります。地獄堂の扉を開けるには、入口に設置された機械に「地獄通行手形」(冥加料100円)を読み込ませる必要があります。薄暗い堂内に入ると、正面には巨大な赤顔の閻魔大王が鎮座し、その脇を青鬼や赤鬼、死者の衣服を剥ぎ取る奪衣婆(だつえば)が固めています。
堂内のボタンを押すと照明が一変し、閻魔大王の裁きの声が轟く映像と音響プログラムが作動します。生前犯した罪――嘘をつくこと、命を粗末にすること、人を傷つけること――がどのように裁かれ、どのような凄惨な地獄へ堕ちるのかが容赦のない語り口で突きつけられます。単なる視覚的脅かしではなく、「あなた自身の普段の行い」を直接糾弾される心理的圧迫感こそが、全興寺の地獄堂がトラウマ級と評される本質的な理由です。
堂外にある「極楽度・地獄度チェック」の端末で自身の生前の行いを審判にかけ、恐る恐る地獄堂へ入るという動線設計も見事であり、参拝者は否応なく自らの内面と向き合わされることになります。