石原稔久のモノづくりの原点は、大学時代に遡ります。武蔵野美術大学で彫刻を専攻した彼は、木、石、金属といった多様な素材の質感や空間との対話方法を徹底的に学びました。そこで育まれた立体感覚と「空間に形を置く」という意識が、現在の彼の陶芸の強固な骨組みとなっています。
1996年に大学を卒業後、自らの表現媒体として選んだのは「土」でした。土は自由でありながら、一度火を通せば二度と元の姿には戻らない不可逆の素材です。地元の福岡に戻り窯を構えた石原は、伝統的な陶芸の手法を踏襲しつつも、彫刻的アプローチを失わない独自の作風を確立していきました。