1999年冬。TBS系列で放送された『ケイゾク』は、当時のテレビ界に確かな地殻変動をもたらした。東大卒の天才でありながら生活能力ゼロの迷刑事・柴田純と、胸中に闇を抱えた叩き上げの刑事・真山徹。スタイリッシュな映像美、虚実が入り交じる脚本、そして何より二人が紡ぎ出す歪で美しい空気感が、視聴者を虜にした。
セリフの間、視線の切り替え、呼吸の微かな乱れ。二人の演技は緻密に計算されたロジックでありながら、同時にその場の空気で生まれるジャズの即興演奏のようでもあった。既存の「刑事ドラマ」という型を内側から破り捨てたあの熱量こそが、その後の日本のサスペンス・ミステリー作品の指標となったことは疑いようがない。