長瀬智也を語る上で、脚本家・宮藤官九郎とのコラボレーションを避けて通ることはできない。彼らがTBSテレビを主戦場に生み出してきた作品群は、日本のテレビドラマの歴史を決定的に変えた。裏路地の不良たちの日常を疾走感あふれる映像美で描いた『池袋ウエストゲートパーク』は、一過性のブームを超えてストリートのバイブルとなった。
さらに落語とヤクザの世界を融合させた『タイガー&ドラゴン』や、俳優としての区切りとなった『俺の家の話』に至るまで、彼らが紡いだ物語は常に人間の可笑しみと切なさを浮き彫りにしてきた。社会のレールから少し外れた不器用な男を、あれほど愛らしく、かつ圧倒的な説得力で演じ切れる俳優は他にいない。宮藤の緻密で破天荒な脚本と、長瀬の直感的な身体表現が火花を散らした瞬間、画面には奇跡のようなリアリティが立ち現れていた。