皇国の守護者は、佐藤大輔が中央公論新社(現・中央公論新社)の雑誌「EDGE」で連載し、後に中公文庫から刊行された長編小説シリーズだ。全5巻が刊行されたが、物語は途中で中断している。
舞台となるのは、我々が知る歴史とは異なる「もうひとつの世界」である。そこには「皇国」と呼ばれる帝国が存在し、周辺諸国との緊張関係の中で生き残りをかけた戦いを繰り広げている。主人公・新城直衛は若き軍人として、この激動の時代を駆け抜けていく。
架空戦記としての独自性
多くの架空戦記が第二次世界大戦をベースにした改変歴史を描くのに対し、皇国の守護者は完全なオリジナル世界を構築した点で異彩を放つ。この世界では銃火器と剣が併存し、竜と呼ばれる生物が軍事力として運用されている。一見ファンタジーのようでありながら、その戦術・戦略描写は徹底してリアリズムに基づいている。
佐藤大輔は防衛大学校の出身であり、軍事に関する深い知識を持っていた。その専門性が作品に反映され、単なる空想ではない説得力のある戦闘シーンが生まれた。読者は架空の世界でありながら、「本当にこのような戦いが起こりうる」と感じさせられる。