この略奪劇において、最大の被害者とされた山下久美子。彼女が裏切りの中で味わった絶望は、彼女自身の言葉によって世に放たれた。夫と親友が密かに惹かれ合っていく過程を間近で見せつけられた苦痛は、計り知れない。山下はその後、シングルマザーとして双子の姉妹を育てる道を選び、自立した女性としての支持を集めることになる。
一方で、今井美樹はこの件に関して、今日に至るまで一貫して沈黙を守り続けている。謝罪会見を行うこともなく、自らの口で経緯を説明することもなかった。この「語らない姿勢」こそが、彼女の最大の自己防衛策だったのだろう。下手に釈明すれば、さらなる燃料を投下することになる。沈黙によって嵐が過ぎ去るのを待つ――その戦略は功を奏したかに見えたが、結果として「反省のない略奪者」というイメージを固定化させることにもなった。