多くの人が「百の目を持つ妖怪の末裔なのか」と妄想を膨らませるが、真相は遥かに現実的で、かつ詩的な自然の情景に根ざしている。
語源の核心は「水」だ。山あいの渓谷や川の合流点、湧水地などで、水がゴウゴウと激しく音を立てて流れる様を、古語では「轟く(とどろく)」あるいは「どどめく」「どうめく」と表現した。この激しい水音の擬音語がやがて「どうめき」という地名へと転化し、そこに暮らした人々が土地の名を自らの家名として名乗ったのが始まりとされる。
そこに日本の妖怪伝承が折り重なる。代表的なのが、栃木県宇都宮市に伝わる百目鬼の退治伝説だ。平安時代、藤原秀郷が討ち取った鬼の怨念が百の目を持つ怪異となって現れ、徳の高い僧によって成仏させられたという伝承が残る。激しい水流の唸り声が、人々の耳には鬼の咆哮に聞こえたのかもしれない。「百目木」「道万木」「堂目木」など各地に異なる漢字表記が存在するのも、音先行で漢字が当てられた確固たる証拠だ。