歴史を振り返れば、1946年にアメリカの発明家アール・タッパーがポリエチレンを用いた画期的な保存容器を開発したことからすべては始まった。塗料缶のフタから着想を得た「インバース・リッド」構造は、空気を押し出して密閉する画期的な仕組みとして世界中を席巻し、タッパーウェアブランズという巨大ブランドを築き上げた。
しかし、半世紀以上を経て家庭用品・日用品製造業を取り巻く環境は激変した。単に「食材の乾燥を防ぐ」時代から、「スープやドレッシングを充填したまま満員電車で持ち運ぶ」という過酷なモバイル用途へとユーザーの要求がシフトしたためだ。
往年の名機が誇った柔軟性のある樹脂フタによる密閉方式から、ポリプロピレンと熱可塑性エラストマーを分子レベルで融合させるハイブリッド成型へ。かつてのクラシックな食品保存容器は、いまや精密機器と呼ぶにふさわしい構造体へと進化を遂げている。