インターネット上の掲示板やSNSでは、「40代・50代の女性タレント〇〇が実は総入れ歯」「若手アイドルが入れ歯に変えた」といった過激なゴシップが定期的に拡散されます。しかし、歯科医療関係者や芸能プロ関係者への綿密な取材を進めると、ネット上の言説と現場のリアルには著しい乖離があることが判明します。
実際のところ、30代から50代の現役芸能人で「総入れ歯」を装着しているケースは、事故や特殊な重度疾患を除けばほぼ存在しません。噂の引き金となっている事象の9割以上は、以下の誤解から生じています。
第1に、芸能人の差し歯と入れ歯の見分け方を混同している点です。過去に前歯6〜8本を一括でオールセラミッククラウンに変えた芸能人が、歯肉の退縮によって歯頸部(歯と歯茎の境目)に影ができたり、加齢に伴ってセラミックの不自然な白さが浮いて見えたりする現象を、一般視聴者が「入れ歯がズレている」と誤認するパターンです。
第2に、インプラント手術中の「仮義歯(プロビジョナルレストレーション)」の目撃です。インプラント治療の治癒期間中、一時的に前歯の隙間を埋めるために取り外し式の仮部分入れ歯を装着することがあります。この期間中の滑舌の違和感やスタジオ裏での着脱を目撃した関係者から、「あの人は入れ歯だ」という噂が尾ひれを付けて一人歩きしてしまうのが実態です。