芸能界の頂点に立ちながら、50代で突然の「セミリタイア」を宣言した巨泉の決断は、世間に大きな衝撃を与えた。仕事に人生を捧げるのではなく、海外を拠点に人生を楽しむ生き方は、ワークライフバランスの先駆けとも言える。しかし、彼の挑戦はそれだけでは終わらなかった。周囲を驚かせたのが政治の世界への進出だった。
2001年の参議院選挙に民主党から出馬し、見事に当選を果たして参議院議員となった。しかし、永田町の古い慣習や党内の路線対立、自らの理念との乖離に直面する。妥協を許さない性格ゆえに党幹部と激しく対立し、わずか半年のスピードで辞職することとなった。政治家としての挑戦は短期間に終わったが、そこには権力に与せず、自身の美学を貫いた巨泉ならではの知られざる素顔と葛藤が存在していた。