「天気の良い日にベランダで干しているから大丈夫」という認識は、生物学的な観点から見れば危険な誤解に近い。家庭内の布製品に繁殖するダニの約8割から9割を占めるのは、チリダニ科に属するヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニだ。これらの体長はわずか0.2〜0.4ミリメートル程度。人間の皮脂や剥がれ落ちたアカ、フケ、さらには食べこぼしを栄養源にして爆発的に数を増やす。
日差しを浴びせても、ぬいぐるみ内部の温度はせいぜい30度から40度程度にしかならない。アース製薬の研究データや実験でも明らかなように、ダニは50度以上の熱を20〜30分以上、あるいは60度以上の熱を瞬時に加えなければ死滅しない生命力を持つ。直射日光を浴びたダニは、光と熱を嫌ってクッションやぬいぐるみの中心部、綿が最も密集した冷涼なエリアへと一斉に逃げ込むだけなのだ。
かつてNHKの科学情報番組で行われた検証実験でも、天日干し後に表面のダニ数が一時的に減ったように見えても、内部の生息密度にはほとんど変化が見られないことが証明されている。叩く行為に至っては、ダニの死骸やフンを細かく粉砕し、アレルゲンを表面へ浮き上がらせて吸い込みやすくしてしまう最悪の悪手と言わざるを得ない。