魚の鰭(ヒレ)や皮膚が侵される「尾ぐされ病」「口ぐされ病」「鰓ぐされ病」は、主に滑走細菌であるカラムナリス菌(Flavobacterium columnare)の感染によって引き起こされます。また、体表に出血斑が現れる「赤斑病」やヒレの根元が鬱血する「鰭赤病」は、運動性エロモナス菌が引き金となります。これら進行が極めて早く致死率の高い細菌性皮膚疾患に対し、長年第一線で処方されてきたのが日本動物薬品(ニチドウ)の「グリーンFゴールド顆粒」です。
製造元である日本動物薬品の製品情報資料によると、本剤10g中にはニトロフラゾン5gとスルファメラジンナトリウム5gという2種類の強力な抗菌成分が1対1の黄金比で配合されています。ニトロフラゾンは細菌の糖代謝酵素系を阻害して広範囲のグラム陰性菌を強力に叩き、スルファメラジンナトリウムは葉酸の生合成を遮断して細菌の増殖を封じ込めます。作用機序の異なる2剤を掛け合わせることで相乗的な殺菌効果を生み出し、薬剤耐性菌の出現を抑えつつ病巣を迅速に鎮圧する設計です。
水に溶かすと鮮やかな黄色を呈するこの顆粒は水溶性に優れ、病初期の軽微なヒレの濁りから組織の欠損が始まった進行期まで、高い治療実績を叩き出してきました。しかし、この「広域抗菌スペクトラム(あらゆる菌を全滅させる力)」こそが、飼育環境においては大きなリスク要因となります。