彼女のテレビドラマにおける決定打といえば、やはりNHKでの足跡を外すことはできない。社会現象を巻き起こした連続テレビ小説『あまちゃん』で演じた足立ユイ役は、地方都市の閉塞感ともがきを同居させた名演として今なお語り草だ。「アイドルになりたい」という少女の憧れが、震災と現実の壁にぶつかって歪んでいく過程を、当時まだ十代だった彼女はあまりにもリアルに体現してみせた。
その確固たる実力は、大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』での遊女・小梅役や、のちの数々の文芸作品でも遺憾なく発揮された。時代背景や社会の空気を一瞬で纏い、台詞のない沈黙の時間すら物語に変えてしまう求心力。彼女が公の電波に乗せる芝居には、いつも嘘のない人間の体温が宿っている。