「昼から本格的な和食をカウンターで味わう」。そんなささやかな贅沢が、薬院の大人たちの間で定着しつつある。以前は夜のみの営業だった隠れ家的な割烹や小料理屋が、手頃な価格帯のランチコースや限定の定食を提供し始めたからだ。
羽釜で炊き上げられた立ち上る湯気の白米、目の前で揚げられるサクサクの天ぷら、そして長浜鮮魚市場から直送された極上の刺身。店内は静寂に包まれ、包丁がまな板を叩く心地よい音だけが響く。周囲に気兼ねなく、自分のペースで最高の食に向き合う「個の食体験」が、都市のストレスに晒された現代人の心を掴んで離さない。