全国の民間フラワーパークでは1,000円から2,000円前後の入場料が設定されることが一般的ななか、あわじ花さじきは開園以来、一貫して入園料無料を貫いています。この破格とも言える運営方針の裏には、兵庫県が推進してきた明確な地域開発の経緯が存在します。
1998年4月、明石海峡大橋の開通に合わせて整備された同園は、もともと兵庫県の「花の島・淡路島」構想を具現化する中核施設として誕生しました。淡路島北部丘陵地域の農業用ため池や畜産基地の景観を活かし、広域的な地域活性化を目的とした県立公園事業として設計されたという歴史的経緯があります。
行政担当者の報告書や観光経済学の観点から分析すると、入園料を徴収しない理由は単なるファンサービスではありません。入園を有料化すれば、料金所ゲートの建設、改札スタッフの常時配置、防護フェンスの厳重な設営など、莫大な初期投資と固定管理費が発生します。あわじ花さじきはそれらを削ぎ落とし、無料の「マグネット(集客装置)」として機能させる戦略を採っています。
島内を訪れる観光客が花さじきに立ち寄り、周辺の宿泊施設、飲食店、直売所へと回遊することで、淡路島全体へ経済効果を落とすという「エコシステム(広域経済循環)」が成立しているのです。入場料を取らずとも、淡路島全体の観光消費単価を底上げする起爆剤として機能している点に、無料化の真実があります。