この騒動がこれほどまでに世間の関心を集めた背景には、異色のタレント背景が複雑に絡み合っていた点がある。狩野英孝が所属するマセキ芸能社は、ウッチャンナンチャンや出川哲朗らを擁する老舗お笑い事務所であり、バラエティ番組でのリアクションや笑いの文脈に長けている。一方で川本真琴は、ソニー・ミュージックエンタテインメントからデビューし、圧倒的な音楽的センスと独自の世界観で評価されてきた本格派シンガーソングライターだ。
お笑い界と音楽界という全く異なるカルチャーが芸能界という巨大なプラットフォーム上で正面衝突したことで、世間の野次馬根性は激しく刺激された。笑いに変えざるを得ないお笑い芸人の宿命と、自己表現を美学とするアーティストの感性。この二つの世界観がSNS時代の黎明期に衝突したことが、事態をよりドラマチックに、そして複雑に仕立て上げたのだった。