時計の針を2008年3月に戻そう。当時ニューヨーク・ヤンキースで活躍していた松井氏は、突如として結婚を発表した。全米、そして日本中が沸き立ったのは言うまでもない。しかし、記者会見の場に現れたのは松井氏ただ一人だった。
彼が手にしたのは、自らが描いたとされる妻の似顔絵。特徴的な「丸顔で目がクリッとした女性」のイラストは、メディアの取材攻勢をかわすための唯一の武器となった。一般女性である彼女を守るため、名前すら「元会社員のAさん(当時25歳)」としか明かされなかったのだ。この会見は、スポーツ史に残る「最もスマートなプライバシー保護」の先駆けとなった。