二人の代名詞とも言えるのが、日常の何気ない会話から大喧嘩に発展する「夫婦コント」である。「寝たふり」や「変なおじさん」との絡み、あるいは些細な言い合いから始まる夫婦の日常風景は、台本があることを忘れさせるほどリアルだった。あまりの息の合い方に、視聴者の間では「本当の夫婦なのではないか」「舞台裏でも特別な関係なのでは」と噂が絶えなかった。
制作を手掛けたイザワオフィスの関係者や番組スタッフの証言によれば、この夫婦コントの完成度は極限まで高められた事前リハーサルと、本番でのアドリブの融合によって生まれていたという。志村けんはコントに対して異常なほどの完璧主義者であり、間(ま)の取り方一つにミリ単位のこだわりを持っていた。その過酷な要求に食らいつき、時には志村自身を本気で爆笑させるアドリブを繰り出したのが石野陽子だった。