ワーナーミュージック・ジャパン時代に世へ放たれた名曲群は、今聴いても一切の古さを感じさせない。『DESIRE -情熱-』で見せた着物を大胆にアレンジした衣装とボブウィッグの衝撃、あるいは井上陽水が手掛けた『飾りじゃないのよ涙は』における圧倒的な疾走感とアジテーション。彼女は単に提供された楽曲を歌うシンガーではなく、衣装から振付、ステージ演出に至るまでを自らプロデュースする先駆的なクリエイターだった。
現在の彼女がこれらの楽曲を再解釈するとき、かつての攻撃的なまでのエネルギーは、人生の痛みを包み込むような包容力へと昇華される。張り上げるのではなく、語りかけるように紡がれるフレーズ。名曲たちが持つ強靭な骨格に、年月を重ねた歌声が新たな命を吹き込んでいる。