アート作品を鑑賞するとき、私たちは無意識のうちに「これは写真」「これは絵画」「これは動画」と分類しています。小瀬村真美の作品は、その無意識の分類体系をあざ笑うかのように打ち砕きます。
彼女の作品の多くは、暗闇の中に鮮やかに浮かび上がる静物です。古典的な西洋静物画のコンポジションを完璧に模しながらも、画面内部では時間がリアルタイム、あるいは極度に遅延・加速されたスピードで流れています。一瞬の静止画に見えたものが、実は膨大な時間を圧縮した動的な記録であるという事実に気づいたとき、鑑賞者は自らの視覚と認識のあいまいさに直面します。
動かないはずのものが動き、永遠に残るはずの美術品が移ろい去る。この絶妙なズレこそが、小瀬村作品の最大の魅力です。