映画『ヤクザと家族 The Family』や、海外配信で大ヒットを記録したドラマ『TOKYO VICE』など、近年、暴力団を題材とした優れた映像コンテンツが世界的な注目を集めた。NetflixやHBO Maxといった世界的プラットフォームを通じて描かれるヤクザの世界は、義理人情の葛藤やネオン街での暗闘という劇的なドラマ性に満ちている。
だが、スクリーンに映し出されるノワールの世界と、2026年代半ばを生きる弘道会の現実との間には、埋めがたい乖離が存在する。現代の組員たちを待っているのは、ロマンや抗争の美学ではなく、生活苦と法的な四面楚歌という極めて無機質な現実である。
かつて街を闊歩した威勢の良さは消え失せ、身分を隠しながら細々と生きることを余儀なくされる構成員たち。エンターテインメント作品が提示する退廃的な魅力の裏側で、現実の裏社会は制度疲労と完全な孤立のなかで急速に色あせている。