モアイ像に纏わる最大のミステリー、それは「車輪も鉄器も馬も持たなかった島民が、いかにして平均十数トン、最大級のものでは80トンを超える巨石を数キロメートル先まで運んだのか」という点だ。
かつて海洋探検家のトール・ヘイエルダールは、大量の木材をソリのように使い、丸太の上を転がして運んだという説を提示した。しかしこの説には「木材の伐採が森林破壊を招き、文明崩壊につながった」というシナリオがつきまとっていた。これに対し、近年の考古学実験と動体解析が打ち出したのが、「モアイ像は立てたままロープで左右交互に引っ張り、自ら『歩いて』移動させた」という直感に反する新たな説だ。像の底面がわずかに丸みを帯び、前傾姿勢で作られているのは、歩かせやすくするための意図的な設計だったと研究者は指摘する。National Geographicなどのメディアでも特集されたこの実証実験は、少ない人数でも巨大な石造物を効率よく動かせることを完璧に実証してみせた。