2000年代初頭の「ビッグスクーターブーム」をご記憶の方も多いでしょう。当時はマジェスティやフュージョンをベースに、車高を極限まで落とし、大音量のスピーカーを搭載した派手なカスタムが若者文化として流行しました。しかし、規制強化や流行の変遷によってブームは急速に終息し、一時は「過去の乗り物」とみなされた時期もありました。
ではなぜ現在、ビッグスクーター人気再燃の真相が業界内で語られているのでしょうか。SNSやバイク掲示板、ユーザーコミュニティにおける軽二輪スクーターネットの反応を多角的に分析すると、ユーザー層と利用動機が180度変化したことが浮き彫りになります。
取材で見えてきたのは、30代から50代の「実利主義ライダー」による再評価です。ネット上では以下のようなリアルな生の声が溢れています。
「若い頃はリッターSSでカチャカチャギアを変えるのが楽しかったが、仕事帰りの疲れた体には苦行でしかなかった。フォルツァに変えてから、仕事着の上にライディングジャケットを羽織るだけでサッと乗れる。シート下に濡れたカッパやPCバッグをそのまま放り込めるのが神すぎる」(40代・IT企業勤務)
「休日のキャンプツーリングで、仲間がサイドバッグやネットで荷物を固定するのに30分かけている横で、自分はシートを開けて荷物を放り込んでロックするだけ。スマートキーで給油口も開くし、雨が降っても足元が濡れない。この快適性を知ってしまうともうMTには戻れない」(30代・公認会計士)
かつての「自己顕示のためのファッションアイテム」から、「時間と体力を節約するための高性能モビリティ」へと社会的な受容のされ方が完全にシフトしたこと。これが、現在進行系で起きている250ccオートマ復権の核心です。