本作の魅力を語る上で絶対に欠かせないのが、世界的な音楽家・坂本龍一の手掛けた荘厳な楽曲群である。彼は満州国軍の将校・甘粕正彦役として出演する傍ら、急遽映画音楽のプロデュースを依頼された。わずか数週間という極限のタイムリミットの中、東洋の伝統楽器と西洋のオーケストラを緻密に融合させた楽曲を書き下ろし、日本人として初のアカデミー作曲賞を受賞する金字塔を打ち立てた。
主演を務めたジョン・ローンの迫真に満ちた演技と、坂本が生み出した哀切漂う旋律とのシンクロナイズは圧巻の一言に尽きる。紫禁城の広大な広場で響き渡るテーマ曲は、主人公が抱える王者の孤独と時代の無常観を完璧に表現しており、聴く者の心を強く揺さぶる。