この強固な沈黙の壁に風穴を開けたのは、日本の既存メディアではなく海外の報道機関だった。英国の公共放送BBCが制作・放送した『J-POPの捕食者:秘められたスキャンダル』は、国内で長年触れることが憚られていた性加害の事実を世界に告発する決定打となった。モビーン・アザール記者による徹底した追跡取材は、長年覆い隠されてきた暗部を容赦なく照らし出した。
海外メディアによる格好の調査報道ドキュメンタリーは、国内の新聞やテレビが沈黙を決め込む中で巨大な反響を呼んだ。実態のつかめなかった人物の素顔や行状、被害者の生々しい証言が提示されたことで、これまで「噂話」として処理されがちだった問題が不可逆的な社会問題へと昇華したのである。