献立作成は3〜4ヶ月前に始まる。栄養士たちはまず文部科学省が定める「学校給食摂取基準」を確認する。エネルギー、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル。すべての数値を満たしながら、七夕らしさを演出しなければならない。
横浜市の学校栄養士、田中美咲さん(仮名)は15年のキャリアを持つ。「そうめんは炭水化物中心なので、タンパク質をどう補うかが勝負。鶏肉のから揚げを星型にする、卵焼きを星型で切り抜く。工夫次第で栄養バランスは保てます」
食材費の制限も厳しい。文部科学省の2023年データでは、1食あたりの平均食材費は小学校で約255円、中学校で約297円。七夕給食では特別な演出のため、通常より20〜30円高くなる傾向がある。その分、他の日の献立で調整する必要がある。
アレルギー対応も複雑だ。星型のゼリーにゼラチンを使えば、宗教上の理由で食べられない子もいる。寒天に切り替える。小麦アレルギーの子にはそうめんの代わりに米粉麺を用意する。一人ひとりに配慮しながら、クラス全体で同じ体験を共有させる。綱渡りのような作業だ。
調理師たちの技術と時間との戦い
大阪市内の小学校では、600食分の給食を5人の調理師で作る。七夕当日の朝は午前6時に作業開始。星型のにんじんを300個切り抜く作業だけで1時間かかる。そうめんは茹で時間の管理が命。伸びてしまえば台無しだ。
ベテラン調理師の山田さん(仮名、58歳)は言う。「子どもたちが『わぁ!』って言う顔を見たくて頑張れる。20年やってるけど、七夕給食の日は今でも緊張する」