「慶」という漢字がなぜこれほどまでに「おめでたい」「善美である」という意味を帯びているのか、そのルーツは古代中国の甲骨文字・金文の時代まで遡ります。
漢字の成り立ち(白川静氏の白川文字学など)によると、「慶」の上部は「鹿(しか)」の皮の形骸を表し、中央から下部にかけて「心(こころ)」と「行(歩み)」が組み合わさった形とされています。古代において、鹿の美しい皮は神仏への最上級の献上品や、他家への最高の慶祝の贈り物として用いられていました。
つまり、「めでたい贈り物を携え、心からの喜びを込めて祝いに行く」という情景そのものが「慶」という文字の起源です。転じて、「祝福する」「幸い」「褒美を与える」「喜ばしい出来事」という意味が定着し、現在に至るまで最高位の吉祥文字として大切に扱われています。