世界的成功の途上において、ブランドは一つの転換期を迎える。森下公則は2009年に「08sircus(08サーカス)」を立ち上げ、より素材の機能性やミニマルな現代的アプローチへと軸足を広げた。その裏で、「kiminori morishita」としての活動は一時的に沈黙を守ることとなった。ファンや世界中のコレクターの間では、過去のアーカイブ作品が「幻の逸品」として高値で取引される現象が続いた。
そして、2025年秋冬シーズン。
長い沈黙を破り、「キミノリ モリシタ」が待望の再始動を遂げた。復帰作として発表されたコレクションは、往年の狂気的な手作業のディテールを現代の空気感で再解釈した圧巻の内容だった。
新境地を示す色「Rotton Khaki」
再始動の象徴として掲げられたのが、独自に開発された「Rotton Khaki(ロットンカーキ)」という色彩だ。単なるミリタリーグリーンではなく、腐食した金属や湿った土、長い年月を経た軍服が持つ複雑なトーンを表現している。この絶妙なカーキを纏ったミリタリーパーカや、表面を手作業でシェービングした重厚なレザージャケットは、まさにブランドの原点回帰であり新たな到達点であった。