嘔吐物が付着した衣類をそのまま洗濯機に入れる行為は、ウイルスを衣服全体、さらには洗濯槽全体へコーティングするようなものだ。水流の物理的な力だけでは病原体は死滅せず、排水や脱水の過程で機内に水滴が飛び散り、次に洗う衣類へ交差汚染を引き起こす。
インフルエンザウイルスは脂質膜(エンベロープ)を持つ構造のため、アルコールや熱に比較的弱い性質を持つ。しかし、嘔吐物に含まれるタンパク質や胃酸の保護膜に包まれた状態では耐性が飛躍的に高まり、水洗いや通常の合成洗剤だけでは完全な不活性化に至らない。これが、家族間感染が爆発的に広がる隠れた原因となっている。