オフィスや現場で「これくらいは熱心な業務指導だ」と弁解されるケースが後を絶ちません。しかし、厚生労働省のガイドラインが定めるパワーハラスメントの3要素に照らし合わせると、恫喝の多くは違法なハラスメントと認定されます。
パワハラと判断される3要件は次の通りです。
- 優越的な関係を背景とした言動(職務上の地位だけでなく、専門知識や人間関係の優位性を含む)
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
- 労働者の就業環境が害されるもの(精神的・肉体的な苦痛を与える)
ミスをした部下に対して「なぜ失敗したのか」を論理的に追及し再発防止を求めるのは適正な指導です。しかし、周囲に聞こえるような大声で「お前は無能だ」「辞めてしまえ」と怒鳴りつける行為、あるいは机を蹴る、書類を投げつけるといった威嚇行動は、明らかな「精神的な攻撃(モラハラ・パワハラ)」に該当します。
閉鎖的な密室に呼び出して長時間にわたり威圧的な態度を取り続ける行為も、相手の正常な判断力を奪う悪質な恫喝とみなされ、被害者が適応障害やうつ病を発症した場合には、民事上の不法行為(民法709条)として高額な損害賠償責任が発生します。