日本の米文化では「研ぐ」ことが常識ですが、なぜパエリアでは洗米がNGとされるのでしょうか。食品科学の観点から検証すると、そこには明確なメカニズムが存在します。
パエリア米を洗わない理由と真相は、米の表面に存在するデンプン構造にあります。お米を水で洗うと、表面の細胞が水分を吸ってデンプンが溶け出しやすくなり、加熱時に強い粘り(糊化)が発生してしまいます。パエリアでは米同士がくっつかず、パラパラとした食感を維持することが理想であるため、生米のままオリーブオイルで炒めて表面を油膜でコーティングし、デンプンの流出を物理的に防ぐ必要があります。
「どうしても無洗米以外で洗わないのは衛生面で抵抗がある」という場合は、事前に米を洗って完全に乾燥させておくか、市販の無洗米を使用するのが最も安全なアプローチです。
さらに、スペイン現地で「ソカラ(Socarrat)」と呼ばれるパエリアおこげの作り方裏ワザとして、蒸らし直前の「オイル追いがけと音の聞き分け」が挙げられます。炊き上がりの最終段階でフタを外し、鍋肌からオリーブオイル小さじ1を回し入れ、中強火で1〜2分加熱します。鍋底から「グツグツ」という水蒸気の音から「パチパチ、チリチリ」という乾いた高い音に変わり、わずかに香ばしい燻製香が漂った瞬間が火を止めるベストタイミングです。