「防護服を着ていたから大丈夫」という過信こそが命取りになる。フッ酸は分子量が小さく、一部のゴムやプラスチック素材を容易に透過する性質を持つ。適切な耐薬品性を持つ手袋やスーツを正しく選択し、かつ頻繁に交換しなければ、目に見えない微細なピンホールから浸透してくるのだ。
さらに、高濃度のフッ酸は揮発性が高く、有毒なガスとしても立ち込める。呼吸器から吸い込めば肺水腫を引き起こし、窒息死に至る。防護マスクのフィルター選定や、局所排気装置のメンテナンスが少しでも怠られれば、作業空間全体が即座に致死ゾーンへと変貌する。