ネット上のQ&Aサイトや経済掲示板では、「安田財閥は解体されて跡形もなくなったのか」「現代の安田グループは事実上消滅したのではないか」という疑問が頻繁に見受けられます。しかし、これは財閥の形態変化に対する誤解に基づいています。
戦前の財閥は、安田一族が支配する持株会社(安田保善社)が各事業会社をピラミッド型に直接統制する「資本の共同体」でした。しかし現代の旧安田系企業は、「芙蓉懇話会」を通じた緩やかな企業間ネットワークおよび歴史的な取引関係・人的交流によって結ばれています。
「三菱グループの金曜会」や「三井グループの二木会」に比べると、芙蓉グループは加盟企業(日立、丸紅、キヤノン、SOMPO、みずほなど)の自主性が強く、排他的な系列意識が薄いと言われます。この「風通しの良さ」こそが、安田善次郎が遺した「実利を重んじ、独立自尊を尊ぶ」気風の表れでもあります。
また、創業者一族である安田家の家系図を辿ると、善次郎の玄孫にあたるオノ・ヨーコ氏(ジョン・レノンの妻)をはじめ、実業・文化・学術の多方面に多彩な人材を輩出していますが、現代の各社経営において創業家が直接的な世襲支配を行う構造は完全に排除され、高度なコーポレートガバナンスが確立されています。