広島県大会から中国大会にかけて、市立福山が見せた戦いぶりは冷徹なまでに計算し尽くされていた。特に、県内の絶対的王者として君臨してきた名門校との一戦では、相手打者の過去数十打席分の打球傾向を完全に網羅。カウントごとに極端な守備シフトを敷き、相手の強打を面白いように内野ゴロへ仕留めていった。
エース投手が投じる一球一球にも、明確な意図が存在する。相手打者の苦手コースへミリ単位でコントロールされる変化球は、データに基づいた戦術の結晶だ。かつては「公立が私立に勝つには奇跡が必要」と言われた。しかし彼らが証明したのは、奇跡ではなく「再現可能な戦略」によって勝利を引き寄せられるという事実だ。